アスペルガー症候群だから犯罪を犯すのか?

 
 
 今回もまた、クリストファー・ギルバーグ博士の著書から、アスペルガー症候群の反社会性の発達についての記述の一部をご紹介します。




 『反社会性 (この言葉の精神医学的定義は、「犯罪的」とみなされる方法で社会的決まりを破る事) の発達は、自閉症スペクトラム障害では、それ程多くみられない。

  だがアスペルガー症候群の人の中には、特定の興味・関心に没頭している最中や、特定の儀式的行動の途中で犯罪を犯す者もいる。

  逆に、暴力的犯罪に関し有罪とされ、精神鑑定を受けた犯罪者の中には自閉症スペクトラム障害の割合が高い。

  極まれだが、自閉症スペクトラム障害の人が一風変わった犯罪行為を犯す事がある。

  例を挙げると、ある施設で、アスペルガー症候群の人が何も悪いことをしていない人々を殺害した。

  この患者は、何年も前に同じ施設の全く別の人々にいじめられたと信じ込んでおり、殺害相手をそのいじめた相手と混同したのだ。

  司法精神医学者は、この分野に関し最新の情報を把握しておく事が必要である。



  もちろんアスペルガー症候群の人は、これ以外のさまざまな意味で「反社会的」であり、そうした行動は臨床像の一部となっている。

  だが大多数は、決まりに厳密にこだわる事が多く、不法行為など考えられない。

  肉体的暴力を非常に嫌がる人も多い。

  従って、まれに重大な反社会的行為・犯罪行為も見られ、一部の犯罪者集団ではアスペルガー症候群の割合が高いとはいえ、自閉症スペクトラム障害の人は全般的に危険ではなく、社会に対する「脅威」とはならない。』



 


 この項のまとめとして、次のような記述があります。




 『アスペルガー症候群と関連して、それ以外の数々の精神医学的診断や人格障害について検討する必要がある。

  AD/HD、発達性協調運動障害、その他の運動制御の障害 (カタトニアも含む) 感情障害、薬物濫用、摂食障害は全て、併発症としてみられる。

  アスペルガー症候群の人はしばしば、統合失調症や人格障害と診断される。

  これは誤診による場合もあるし、診断する医師が自閉症スペクトラム障害という、より有益な診断名を知らないせいである場合もある。』





 自閉症スペクトラム障害の世界的権威による言葉は、難しいですが非常に説得力があります。

 
 まとめにもあるように、医師ですらこの症例に対する知識、臨床例など無いに等しい人が多いのです。

 小児科医にしてもそうです。



 ギルバーグ博士は、まず正しい診断ありきの対策だ、とおっしゃっています。

 医師を信じないという事ではなく、障がい児教育携わる人また周囲の人は、常にアンテナを張り巡らせ「正しい知識であらゆる可能性を考慮」した指導をしなくてはいけません。

 
 不確かな情報、不確かな知識で行う療育または教育は、必ずしも患者に対し有益ではありません。


 僕は自戒として、この事をしっかり心に刻み付けていようと思います。



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【 2009/01/07 23:48 】

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